「うちの子、いつも口が開いてるんですけど、歯ならびに関係ありますか?」
「ご飯を食べるのが遅くて、毎回食事が大変で…」
「4歳になっても指しゃぶりをやめないんです」
診察室でこういったご相談、本当によく受けます。エンプレス歯科には小さなお子さんを連れた親御さんが多くいらっしゃいますが、虫歯よりも「食べ方」「口の開き方」「歯ならびへの不安」についての質問が増えている印象があります。
虫歯は全国的に減少傾向にあります。一方で「口で息をする」「食べるのが上手くない」「発音が気になる」というお子さんの相談は、正直肌感覚として増えてきています。
この記事では、歯ならびが悪くなる理由から、家庭でできること、当院に相談してほしいタイミングまでをまとめました。難しい話は抜きにして、できるだけ分かりやすくお伝えします。
なぜ「口が開いている」と歯ならびが悪くなるのか
人間の体は、本来鼻で呼吸するように設計されています。鼻には空気を温め、加湿し、雑菌をある程度フィルタリングする機能があります。でも口呼吸になると、この仕組みが全部スキップされます。
それだけではありません。口が開いていると唇の力が緩み、前歯を外から支える力がなくなります。同時に、舌が本来あるべき場所(=上あごの天井部分)から離れて、口の底に落ちてきます。
この「舌の位置」が、実は歯ならびに大きく関係しています。
舌は上あごを内側からやさしく押すことで、あごが横に成長するのを助けています。舌がいなくなると、上あごが狭いまま育ってしまう。歯が並ぶスペースが足りなくなって、ガタガタに生えてきたり、出っ歯になったりする。
これが「お口ポカン→歯ならびが悪くなる」の流れです。
姿勢との意外な関係
「歯ならびと姿勢が関係する」と言うと驚かれますが、繋がっています。
猫背になると頭が前に出て気道が狭くなり、鼻で息がしにくくなります。すると自然と口呼吸になる。また、食事中に椅子に座って足がぶらぶらしていると、踏ん張りがきかずしっかり噛めません。足の裏がちゃんと床につくかどうかは、噛む力に直結します。
こんなサイン、見覚えありませんか?
2018年から「口腔機能発達不全症」という病名が保険診療で認められています。これは「食べる・話す・呼吸する」といった口の基本的な機能が、年齢に見合って育っていない状態を指します。
当院の診察でよくチェックするポイントはこちら:
- いつも口が開いている、写真を撮ると必ず口が開いている
- 食べるのが遅すぎる、または逆に丸飲みで早すぎる
- 食事中にクチャクチャと音がする
- 硬いものを嫌がる
- 4歳を過ぎても指しゃぶりが続いている
- 発音がなんとなく聞き取りにくい
- いびきをかく
これらは「性格」や「個性」で片付けてしまいがちですが、実は口の機能の発達が追いついていないサインである可能性があります。
受診すべき?それとも様子見でOK?
様子を見ていいケース
上の前歯が生えたばかりのときに前歯の間に隙間が開いている場合。これは「みにくいアヒルの子時代」と呼ばれる時期で、隣の歯が生えるにつれ自然に閉じることが多いです。
早めに相談してほしいケース
受け口(反対咬合) 3歳児健診で指摘されても、「もう少し様子を見ましょう」と言われることがあります。ただ、自然に治る割合はそれほど高くなく、舌の位置が原因の場合は早めにアプローチした方が改善しやすいです。「様子見でいいって言われたけど、一応相談したい」という気持ちで来ていただいて構いません。
乳歯がきれいに詰まって並んでいる 乳歯の時期には本来、歯と歯の間に「発育空隙」という隙間があるのが正常です。すき間なくきれいに並んでいる場合、永久歯が生えるスペースが足りなくなる可能性があります。
4歳以降の指しゃぶり 前歯が傾いたり(開咬)、顎の骨の形に影響が出たりすることがあります。
年齢別:家庭でできること
0歳〜(授乳・離乳食期)
哺乳瓶を使う場合は乳首の選び方が大事です。離乳食のスプーンは口の奥まで突き込まず、下唇の上に置いて子ども自身が上唇を下ろして取り込むのを待つ。そのひと手間が、口を閉じる筋肉を育てます。
3〜6歳(乳歯列期)
指しゃぶりは、無理やりやめさせるより「なんでやめた方がいいか」を子どもに理解させる方が長続きします。カレンダーにシールを貼って「頑張れた日」を可視化する方法は定番ですが効果的です。おしゃぶりも幼稚園入園を目標に卒業できると理想的です。
6歳〜(生え変わり期)
6歳臼歯(第一大臼歯) がちゃんと生えているかを確認しましょう。手前の乳歯に引っかかってうまく生えてこないケースがあります。この時期はよく噛む食事で顎の成長を助けることが特に重要です。
食事の工夫でできること
現代の食事は柔らかく、噛まなくても飲み込めるものがほとんどです。でも顎は使わなければ育ちません。
**一番おすすめなのは「前歯で噛み切る練習」**です。
食材を一口サイズに切りすぎず、唐揚げや野菜スティック、皮つきのリンゴなど、自分で「がぶっ」とかじる必要がある大きさで出してみてください。とうもろこしを輪切りにするだけでも前歯を使うようになります。
また「水やお茶で流し込む」習慣があると、噛む回数が激減します。自分の唾液で飲み込む練習をさせましょう。
足が床につかない椅子に座っている場合は、牛乳パックを足置き台にするだけでも変わります。
家庭でできるトレーニング
あいうべ体操

「あー・いー・うー・べー(舌を思い切り下へ)」を大げさな動きで1日30回。お風呂の中でやるのが続けやすいですよ。口周りの筋肉と舌を鍛えて、鼻呼吸への改善を助けます。
ガムトレーニング
姿勢を正して口を閉じ、奥歯で均等に噛む→舌でボール状に丸める→上あごに押し付けて薄く広げる。舌の筋力と正しい舌の位置を同時に鍛えられます。
うがい
ブクブクうがい(頬を膨らませる)で口周りの筋トレに。ガラガラうがい(上を向いて水を溜める)で舌の根元と鼻呼吸を刺激します。遊びの一部にしてしまうのがコツです。
エンプレス歯科でできること
当院では口腔機能発達不全症の診断・指導を保険診療で行っています。
「受け口が気になる」「口がいつも開いている」「なんとなく食べ方がおかしい気がする」──どんな些細なことでも構いません。
子どもの成長は早く、骨や筋肉が柔軟な時期にアプローチする方が改善しやすいです。「そんなことで相談していいの?」と思わずに、まず診察でお声がけください。
エンプレス歯科 〒252-0331 相模原市南区大野台3-32-9 TEL:042-707-4411 月・火・木・金 9:30〜13:30 / 15:00〜19:00 土 9:30〜14:00 / 15:00〜18:00 休診:水・日・祝

